令和元年度事業計画

事業の方針

はじめに

あと数日後、約30年間続いた「平成」が終わり、新しい元号・新しい時代に移ることになる。「令和」では、ソサイエティ5.0に代表されるような、より豊かで明るい時代になることを期待しており、また、そのために当協会そして当支部が、今後果たすべき役割は、大きいものと考えている。

さて、平成の時代も色々なことが起きたが、東北に未曽有の被害をもたらした東日本大震災から、8年が経過した。この間、被災地では復興道路などインフラ面での整備や、住まいの再建・復興まちづくりに取り組んできた。

しかし、いまだ多くの方々が避難生活を送られている状況や、根強く残る風評被害、被災地における観光業や小売業の業績回復の伸び悩みなど、震災からの復興に向けた課題は依然として数多く残されている。2020年までの復興期間終了が迫る中、より一層のスピード感を持って課題を解決していくことが求められている。

加えて、東北地方は、さらに悩ましい問題を抱えている。
それは、人口減少・少子高齢化が、全国でも突出して進行していることであり、最近は、課題先進地域という有難くない表現まで耳にする。
2017年の首都圏への転入超過数を見ると、総じて東京への集中が続いており、全国でこの仙台市が(約3500人で)最も多かったというデータがある。
仙台市は、東北6県から毎年相当数の転入超過があるが、集まった以上の人口を首都圏に吸い上げられ、人口を留め置く求心力を欠いているというのが実態である。

国土交通省各地整別の直轄事業の配分を見ても、東北地整の一般会計分は年々減少している。復旧・復興対策事業費分の方に予算はついているが、これもあと2年でなくなるので、その先のことが憂慮される。

このような状況を踏まえて、昨年、東北支部では、国や県に事業量確保を要望するだけでなく、もっと主体的な取り組みが必要だという思いから、「TOHOKU 復興から創生そして近未来への提言」を策定した。

産業を支えるインフラ整備や老朽化対策が疎かになると、益々若者は地方に住まなくなり、首都圏に流出するため、負のスパイラルから一層抜け出せなくなる。

日本全体の活力向上を図るべく地方創生が叫ばれる中で、地方に仕事をつくり、安心して働くことができるようにし、地方への新しいひとの流れをつくる取り組みは、まさしく国を挙げて取り組むべき最重要課題である。

 

業界を取巻く社会・経済環境

平成30年度は、頻繁な台風上陸によるゲリラ豪雨や大規模地震の発生など、全国各地に甚大な被害をもたらす自然災害が発生した。

東北地方でも、5月に秋田県で、また山形県では8月に2度にわたる豪雨が発生し、河川の氾濫や住宅の浸水、道路の冠水などの被害が相次いだ。

このような自然災害のリスクは、近年ますます増大しており、社会資本整備の重点施策である国土強靭化、防災・減災対策の推進に向け、建設コンサルタントに求められる役割が一層重要になっている。

令和元年度の国土交通省関係予算では、重要インフラの緊急点検等国土強靭化のための対策費として約8,500億円が上積みされた。今後も、社会資本の老朽化対策や自然災害への対応など喫緊の課題への対応として、継続した公共事業関係費の確保が望まれる。

一方、本年4月1日より、働き方改革関連法が施行された。

長時間労働の是正のためには、受発注者協働によるワークライフバランスの改善が必要なことから、平成30年度の発注官公庁との意見交換会では、これを最優先課題に掲げ、我々の危機感を強く訴えてきた。

その結果、東北地方整備局をはじめ東北各県にも理解され、ウィークリースタンスの推進、業務スケジュール管理表の活用を職員に周知頂いている。

令和元年度の意見交換会では、これらの実効性と、納期の平準化に向けた前倒し発注や繰越拡大、適正な工期の設定等について、引き続き協議を行うことになる。

国土交通省では、建設産業の生産性の向上を目指すi-Construction(CIM導入など)を本格化させるため、平成28年度から情報通信技術(ICT)の導入による建設生産・管理システムの効率化を進めている。

東北地方整備局においても、平成30年度は橋梁やトンネル、樋門・樋管といった道路・河川構造物を中心に業務と工事あわせて40件前後にBIM/CIMが導入された。

しかし、建設生産及び維持管理のコスト縮減効果が得られる一方で、モデル作成に手間が掛かるなど、CIMが設計の現場で得られるメリットが希薄であることが課題である。

東北支部では、今後のICT普及拡大を見据え、技術部会の中にICT専門委員会を新設し、会員のCIM導入推進及び普及、技術力向上を支援していく。

 

入札・契約制度の改善

人材が集まり、魅力ある業界とするためには、価格競争ではなく、総合力(価格と技術力双方のバランスが取れていること)による競争が必要である。
このため、意見交換会では現在考えられる最善策として総合評価落札方式やプロポーザル方式の入札契約制度の導入を要望してきた。また、地域コンサルタントの成長を促す共同設計方式や、地域要件等の枠組みも積極的に取り入れ、経営力と技術力向上を目指して、競争力強化に努めていく。

技術力競争の必要性は、各県とも理解を示しているものの、一部の県以外は本格的な採用には至っておらず、改正品確法の趣旨に則り、引続き提案と要望を行なう。

東日本大震災被災地の復興道路や、街づくりなどの整備を早期に行うために活用された事業促進PPP方式や、CM方式による復興街づくり事業は、その効果が実証されており、発注者の人員不足による事業実施遅延の解消策として、活用領域拡大が期待されている。

これらの入札契約制度について、今後の効率的な予算執行や、制度の有効性や課題等を分析・検討し、業界として採算性を確保できる制度となるように努めていく。

 

上述のような認識のもとに、本年度の事業方針を以下に示す。
具体の事業活動は各委員会・部会の事業計画の通りである。

 

[令和元年度事業の方針]

1.東北地方の社会資本整備の担い手として、東日本大震災からの復興を支援すると共に、住民に豊かな生活、地域の安全・安心が保てる社会資本整備の必要性を訴えていく活動を継続する。

2.魅力ある建設コンサルタントとするため、受発注者協同による健全な労働環境の改善による働き方改革を実現し、担い手が集う環境の整備を進める。

3.災害協定に基づく連携を強化するため、協定内容の見直しや訓練等を継続的に実施する。

4.プロポーザル方式及び総合評価落札方式において、技術力を重視した方式や地域企業の参加可能な方式などを具体的に提案することにより、入札契約制度の改善を推進する。

5.価格競争方式においては、地方自治体における低価格調査制度と失格基準の改善などを提案することにより、適正な競争制度の確立に寄与する。

6.会員企業が優良な技術と知恵を持続的に提供し続けるために、技術者育成と更なる技術力向上に取り組む。

7.建設コンサルタント事業領域拡大のため、発注者支援業務への積極的な取り組みと、PPP/PFIやCMなど新たな業務領域を提案する。また、コンサルタントの多様な活用を図り、品質向上を実現するため、設計共同体方式の更なる活用を提案する。

8.不当な取引制限や不当な低価格競争等を排除し、コンプライアンスを遵守する。